改訂にあたって
本書の核は、売れる商品をお客さまから学び、来店客一人当たりの買上げ点数、売上、粗利益を見ながら現場で改善することにある。初版の体験談と「ロータス・メソッド」の語り口を残し、時代に合わなくなった企業事例、数字、道具の説明を改めた。
企業の取組みは公表資料で確認できた範囲だけを記し、本書の計算例は説明用の仮定として区別した。PI値は購買数量を客数で割った指標であり、お客さまの思いや満足をそのまま測るものではない。数字の背後にある声を、売場で直接確かめてほしい。
あなたのお店が変わる!
この本は、あなたとお客さまの歓びをひとつにするための本です。
なぜならば、客単価と客数を同時にアップさせて利益を稼ぎ、自分に誇りと自信が持てるようになるからです。しかも、お客さまの笑顔が増えるというメソッドが書かれています。
売上アップとお客さまの笑顔の両方がほしい欲張りな方におすすめします。
「客単価と客数が同時にアップする!?」
そんなバカなという方もいるでしょう。でも、そんな驚くようなメソッドがあるのです。
このメソッドは、次のような方に効き目があります。
- 自分のビジネスに誇りと自信を持てない人
- 自分のビジネスに今後のビジョンがイメージできない人
- ビジネスの現場で、あなただけの革新的なやり方を実現できない人
ビジネスの現場に言い換えるなら、
- お客さまが来ない
- お客さまが来ても買ってくれない
- お客さまが買ってくれても利益が出ない
というビジネス三重苦に陥ってしまった人は、誰もがこの本で変わることができます。
私もかつて、あなたと同じようにビジネスの泥沼にどっぷりつかって、一生懸命に働いても結果の出ない長い冬を経験してきました。
しかし、そんな私のビジネスにも「春」が訪れました。
長い冬の間、国内外を問わず、1000冊以上はビジネス書を熟読したかもしれません。
しかも、早朝3時起床、夜11時まで働く生活を続けていました。
でも、私のようなエブリデイ・マーケット(毎日の食生活)業界に携わる者に役立つメソッドは、いくら探してもなかったんです。
今まで多くの本を読んで思ったのが、およそ次のようなことです。
- エブリデイ・マーケット業界の現場にいない人が、なぜか本を書いている(過去にはいたとしても)
- 有名大学を卒業したという著者が圧倒的に多く、アカデミックな話ばかり
- 西洋の合理的な考え方を中心にしたものが多い(日本人には合わない部分がたくさんあります)
- 「スピリット(生き方)」「マインド(考え方)」「テクニカル(やり方)」の3つがバランスよく書かれていない(ビジネスの成功と幸せが一致していません)
本書は、そんな国内外の本とは、まったく違う発想で書きました。
- 著名な先生の説くようなアカデミックな考え方でなく、お客さまの声で売れる商品がわかる本
- お客さまの声に基づいたメソッド、マーケティングの本
- 今もビジネスの最前線にいる私が伝える本
もちろん、エブリデイ・マーケット業界と関係のない方でも、メソッドを活用できます。
商品を販売している人ならば誰でもOKです。
初版当時、私たちは小さな青果店から事業を育ててきました。売上が伸びたこと以上に、「お客さまが求めるものを見つける習慣」が店に根づいたことを伝えたいのです。
ここであなたにお伝えしたいのは、売上や規模が大きくなったことではありません。
「ビジネスの冬が春になる」

この実感が、実績とともにやってくるということです。
私がつかんだ心の豊かさをあなたに伝えたくて、お店の現場で本書を書き上げたのです。
規模が大きいことだけで、お客さまに選ばれ続ける保証はありません。小さなお店には、その日の声をその日の売場に映せる強さがあります。
この本のメソッドの目的を、もう一度繰り返します。
- 客単価と客数を同時にアップさせて利益を稼ぎ、自分に誇りと自信を持つ
私はこれを「ロータス(蓮)・メソッド」と名づけました。

蓮の花は、泥沼にしか咲きません。
その泥沼(ビジネスの現場)から花(やりがい・達成感・誇り・自信)と実(実績・売上・利益)を、それも同時に実らせるのが「ロータス・メソッド」なのです。
「ロータス・メソッド」のおかげで、私のお店はイメージがガラリと変わり、自分の仕事に誇りを持てるようになりました。今は自分の仕事を「八百屋」だとは思っていません。
「私のビジネスは『野菜ビジネス』です」
と胸を張って答えます。
冬のビジネスの象徴といわれた私の業界で、春を迎えることができた思いがします。
初版を執筆した頃、私たちは青果店を「野菜ビジネス」へ変えようとしていました。市場のようなにぎわいと、カフェのような居心地を両立させたかったのです。
当時の店数や来店客数は、いまの実績を示す数字ではありません。けれど、野菜の向こうに食卓と家族の笑顔を思い描く姿勢は、いまも変わりません。
あなたのビジネスにも、足もとの小さな改善から春が訪れる可能性があります。
本書を読み終えたとき、
- スピリット(生き方)
- マインド(考え方)
- テクニカル(やり方)
の3つが、バランスよく変わってくるのが感じられるはずです。
本書の構成は、第1、2章で「マインド」を、第3、4章で「テクニカル」を、第5章で「スピリット」を説明していきます。
「テクニカル」の部分では、実際にあなたのビジネスであつかっている商品を思い浮かべながら、数値(データ)を出していきます。
「数学の勉強は辛いな」
そう思った方は安心してください。「ロータス・メソッド」の基本は足し算です。「算数」があなたのお店を変えてしまうのです。
きっとワクワクするはずです。ですから、楽しみながら読みすすめてください。
私の尊敬するコーチは、「足下を掘れ、そこに泉あり」と教えてくれました。

ビジネスチャンスは、どこか遠くにあるのではなく、「今、ここに(足下に)」あるのです。
この本を手にとってくれたあなた、あなたにも新たなビジネスチャンスが待っています。
さあ、小さな勇気と習慣の結晶である「ロータス・メソッド」で、ビジネスの冬を春に変えていこうではありませんか!
野菜ビジネスリーダー川島敏男
※編集部注本書で使われている「ロータス・メソッド」は、「スピリット」「マインド」「テクニカル」の3つの部分を総称して使用しています。第3、4章の「テクニカル」部分は、PI研究所のMD方程式と呼ばれるものを野菜ビジネスに応用したものです。
